知った気になれるコーヒーノートCOFFEE NOTE

Chapter 04 — Hand Drip

第四章 ハンドドリップ

お湯を粉に通し、重力でゆっくり落とす。クリーンで雑味が出にくいのが持ち味。基本の型を覚えれば、毎回ブレずに淹れられる。

この章のカードをDL →

01基本の数値

1:15〜16
粉と湯の比率(20g→300g)
82〜92
湯温(浅煎りは高め)
2:30〜3:30
落ち切りまでの目安
30〜45
蒸らし(ブルーミング)

まずこの4つを固定して淹れる。1つずつしか動かさないから、味の変化が読める。

02ドリッパーの形:円錐 ⇄ 平底

穴の数と底の形で、湯の抜ける速さと粉に触れる時間が変わる。それが味の差になる。

円錐・1穴(V60/オリガミ)

湯が中心へ集まり速く抜ける→注ぎで時間を作る

うまく注げば明るくクリーン。腕で味が動くぶん難しい

平底(カリタウェーブ/フラットボトム)

粉床が広く平ら→湯が均一に当たり安定

甘く・丸く・ボディ厚め。出過ぎ/出なすぎが起きにくい

明るさ・華やかさを攻めるなら円錐、安定と甘みなら平底。狙いで選ぶ。

03代表的なドリッパー早見

迷ったら、まずはカリタ三つ穴V60。同じ豆でも形で表情が変わる。

V60(円錐・1穴)
らせん状のリブ+大きな1穴。湯が速く抜け、明るく軽快。注ぎの腕が出る
カリタ三つ穴(台形・3穴)
小さな穴3つで流速が一定。誰が淹れてもブレにくい定番
メリタ(台形・1穴)
1穴で湯がたまりやすい→接触長め=濃いめに出る
平底・オリガミ
均一抽出で甘く安定。オリガミは円錐/ウェーブ両方の紙が使える

穴が多い/大きい=速く抜けて軽い、少ない/小さい=たまって濃い。

04ペーパーの選び方

漂白
酸素漂白がいまの主流。紙臭が少なくクリーン。リンスすればほぼ無味
無漂白
環境にやさしいが紙のにおいが出やすい。リンス必須
ドリッパー専用形状
V60=円錐、カリタ=ウェーブ。形が合わないと密着せず湯が偏る
リンスで解決
白でも茶でも、抽出前に湯を通せば紙臭は流れる→味の差はほぼ消える

淹れる前のひと手間:リンスとパージ

どちらも雑味の予防。慣れたら無意識でやる “下ごしらえ”。

リンス(ペーパーを湯通し)

セットした紙へ 先に湯を通す紙臭を流す

同時に ドリッパーとサーバーを予熱 → 抽出中の湯温が下がりにくい

湯は捨ててから粉を入れる

パージ(捨て挽き)

挽き始めの 少量を捨てる

ミルに残った 前回の粉・微粉 の混入を防ぐ

狙った粉量のブレも減る

05蒸らし(ブルーミング)=最初の30〜45秒

焙煎で豆に閉じ込められたCO₂(炭酸ガス)を、抜くための工程。粉量の約2倍の湯(20gなら40g前後)を全体に行き渡らせ、30〜45秒待つ。ガスが残ったまま注ぐと、湯が粉から押し返されてムラになり、すっぱく・薄く・ぼやけた味になる。よく膨らむ=新鮮な証拠。膨らまない豆は鮮度が落ちている。

064:6メソッドの5投(20g/湯300g/粗挽き/90℃前後)

1
0:00 60g 注ぐ(蒸らし+味①)
中心からゆっくり、粉全体を湿らせて30〜45秒待つ
2
0:45 60g 注ぐ(味②)
ここまで計120g=前半4割。間隔を空ける→甘く、早める→さっぱり
3
1:30 60g 注ぐ(濃さ①)
ここから後半6割。湯が半分くらい落ちたら次へ
4
2:10 60g 注ぐ(濃さ②)
計240g。投数で濃さを足していく
5
2:40 60g 注ぐ(濃さ③)→ 3:30 落ち切り
計300g。落ち切ったらすぐドリッパーを外す
図解

4:6メソッドの注湯スケジュール

20g の粉に 60g ずつ5回、約45秒おきに注いで計300g。最初の2投(120g)=前半40%で味を、残り3投=後半60%で濃さを決める。

前半 40%後半 60% 0150300 湯量g 0:001:002:003:00 3:30 ごろ落とし切り 1 2 3 4 5
前半40%:甘さ・酸のバランス後半60%:濃さ(strength)

074:6の考え方:前半=味、後半=濃さ

湯を 4:6 に分け、別々に決める(粕谷哲さんのメソッド)。狙って味を作れるのが強み。

前半 40%(最初の2投)

酸味↔甘味のバランスを決める

間隔を空ける→甘く/早める→さっぱり明るい

後半 60%(残り3投)

濃さを決める

投数を増やす→濃く/減らす→あっさり

前半=味の方向、後半=濃度。切り分けて考えると再現できる。

08注ぎ方:浸漬ぎみ ⇄ こまめに注ぐ

引き出す力=粉の中と外の“濃度の差”。湯がフレッシュなほど強く出る。注ぎは中心から“の”の字で外周は避け、湯面の高さを一定に。

浸漬ぎみ(ためて落とす)

まわりが濃くなり平衡に近づく=穏やかに頭打ち

丸く・ボディ厚め・失敗しにくい

こまめに注ぐ(少量×回数)

常にフレッシュな湯で濃度差を保ち強く引き出す

クリーン・明るい/出し過ぎ=渋み注意

丸さ・安定なら“ためる”、クリアさ・華やかさなら“こまめに”。

09挽き目と粒度のばらつき

ドリップの目安
中粗〜粗挽き。モード径600〜900μmあたり。細かすぎると目詰まり
微粉fines
速く出すぎて渋み・えぐみの元。安いミルほど微粉が増える
粒がそろう=再現性
ばらつきが小さいほど抽出が安定し、同じ味を毎回出せる
良いミルが効く
良いグラインダーは微粉が少なく粒がそろう→流速が安定・雑味が減る

10トラブル逆引き

変えるのは一度に一つ。動かしたら必ず味見してから次へ。

薄い・水っぽい
粉を増やす/細かく挽く/湯温↑/時間を長く
すっぱい(出なすぎ)
もっと抽出:細かく・熱く・長く/蒸らしをしっかり
渋い・えぐい(出すぎ)
抑える:粗く・ぬるく・短く/早めにドリッパーを外す
ぼやける・平板
豆が古い/蒸らし不足。鮮度と蒸らしを見直す
落ちが遅い
粗くする(目詰まりのサイン)/注ぎを分けすぎない
落ちが速すぎ
細かくする/注ぎをこまめにして接触時間を作る

迷ったら蒸らし→挽き目→湯温の順で疑う。

11豆の鮮度・ガス・保管

コーヒーの敵は酸素・光・熱・湿気の4つ。焙煎直後はガスが多すぎて味が暴れるので数日寝かせ、開封後は1〜2週間で使い切るのが目安。密閉できる遮光容器に入れ、涼しく暗い場所へ。冷蔵庫は湿気と移り香でかえって劣化することがある。挽くのは淹れる直前——粉にすると表面積が増え、酸化が一気に進む。