Chapter 05 — Espresso
第五章 エスプレッソ
9気圧で一気に押し出す濃縮コーヒー。同じ豆でも、圧力で出る成分が変わる。迷ったら、まず挽き目から合わせる。
01標準レシピ(調整の基準)
スイッチを入れた瞬間からタイマースタート。この数値を基準に、豆に合わせて微調整する。
まずドースと抽出量を固定。時間がズレたら挽き目で合わせる。量や圧力は原則いじらない。
抽出比でこう変わる
同じ粉量でも、湯量(抽出量)で 濃さと量 が変わる。リストレット=1:1で濃厚、エスプレッソ=1:2が標準、ルンゴ=1:3で軽く多い。
02ドリップと何が違う
引き出す力が「重力」か「9気圧」かで、出てくる成分が変わる。
紙が油分・微粒子を濾す → 溶けた成分だけ
クリーン・軽い・酸と香りがクリア
油分・微粒子・CO₂ も乳化して押し出す → クレマ
濃厚・重いボディ・苦味と強さが際立つ
濃さ(TDS=溶け込んだ固形分の割合)は約8〜12%で、ドリップのおよそ10倍。同じ豆でも圧力で別物になる。
03なぜ9気圧なのか
9気圧は、1940年代のレバー式マシン(バネの力で押す方式)がたまたま生んだ数値が、そのまま業界標準として定着したもの。科学的な最適解として決まったわけではない。とはいえこの圧力帯は、湯がコーヒーの層(パック)を均一に通り抜け、油分・微粒子・CO₂を乳化させて押し出すのにちょうどよく、クレマと濃厚な口当たりを安定して作れる。だから今も基準として使われている。
04クレマの正体
クレマは、ローストで豆に閉じ込められた CO₂ と、圧力でほぐれた油分・微粒子が、湯と混ざって乳化(油と水が一体化)した泡の層。圧力で油が微細な粒になって液に分散することで、とろみと濃厚な口当たりが生まれる。色はキャラメル〜こげ茶が良い目安で、白く薄いと抽出が浅い・偏ったサイン。なお焙煎から日が経った豆はCO₂が抜けてクレマが出にくくなる。
051ショットの流れ
「均一に詰める」がほぼ全て。詰めムラがあると湯が一点に逃げて味が崩れる。
06味の調整:挽き目で合わせる
ドースと抽出量は固定のまま、時間がズレたら挽き目だけ動かす。量は原則いじらない。
変えるのは一度に一つ。必ず味見してから次を動かす。
07うまくいかない時の見分け方
味の崩れには原因がある。「酸っぱい=足りない/苦い=出し過ぎ」をまず疑う。
08リストレット〜ノーマル〜ルンゴ
ドースに対する抽出量の比(レシオ)で、濃さとボリュームが変わる。バーが長いほど湯量が多い。
09ラテは “濃いショット” で
ミルクに負けないよう、レシオを詰めて濃く抽出する。
ドースと同量を抽出(例 16g → 16〜20g)
濃厚で、ミルクに負けない
粉を 1〜2g 足し、ゆっくり 10g前後 だけ
さらに濃縮・甘く重い
ラテはレシオを詰めるほど濃厚。通常(約1:2.5)→ 1:1〜1.5 へ。
10詰め方の道具と技術
どれも目的は一つ=密度を均一にしてチャネリングを防ぐこと。
11ブレンドの小ワザ
ロブスタを20%ほど混ぜるとクレマが安定し、ミルクとも合わせやすくなる。アラビカ100%は香り高い一方でクレマが薄くなりがち。ラテ主体の店ではブレンドで土台を作る、という選択もある。深煎り寄りの豆ほどCO₂が多くクレマも出やすい。