Chapter 03 — Extraction
第三章 抽出のキホン
粉の成分は、溶けやすいものから順に出てくる。味は 酸 → 甘 → 苦 → 雑味 の順。
01味は順番に出てくる
早めに止めれば酸っぱく、出し過ぎると苦く・渋くなる。酸味と甘味が出きって、苦味が立ち上がるあたり=「おいしいゾーン」で止めるのが狙い。
02味の正体は、成分
溶けやすいものから順に溶け出す。だから止める早さで味の中身が変わる。
03味の地図:未抽出 ↔ ちょうど ↔ 過抽出
抽出が足りない=未抽出で薄く・とがる。出し過ぎ=過抽出で渋み・雑味。真ん中が甘くバランス。
※ ここでの “すっぱい/渋い” は抽出のズレの話。豆本来の華やかな酸味・個性とは別もの。
04“おいしい” を測る2つの数字
ねらい目=SCAゴールデンカップ。TDSは屈折計で測り、収率は計算で出す。18%未満は薄く・とがり、22%超は渋み・えぐみが出る。
05収率(EY)の出し方
TDS(濃さ)と、淹れた量と、使った粉量。この3つから “出し切り度” が分かる。
濃さ(TDS)は“好み”、出し切り度(収率)は“正しさ”。濃いのに薄っぺらい=高TDS・低収率もある。
06なぜ出てくるのか:浸漬 ⇄ 透過
引き出す力=粉の中と外の 濃度の差(濃度勾配)。差が大きいほど速く・強く出る。
まわりの湯がだんだん濃くなり差が縮む
やがて平衡に近づき自分で止まる=穏やか・失敗しにくい
フレンチプレス・浸漬式ドリッパー
常に新しい湯が来るので差が大きいまま
強く引き出せる=クリーン・明るいが出し過ぎ注意
ペーパードリップ・エスプレッソ
丸さ・安定なら浸漬、クリアさ・効率なら透過。同じ豆でも口当たりが変わる。
07味に関わる 5つの要素
どれも「振り方 → 効果」で覚える。変えるのは一度に一つだけ。
085要素のほかに効いてくる “+α”
同じレシピでもブレる原因は、たいていこの辺にある。
09水の硬度で味が変わる
ミネラル(カルシウム・マグネシウム)が味の 運び屋。多いほど成分がよく出る。左から 軟水/中硬水/硬水。
目安=SCA:総硬度 50〜175ppm/アルカリ度(重炭酸)40〜70ppm。日本の水道水は多くが軟水。
10ミネラルが味を動かすしくみ
何が・どう効くかを分けて覚えると、水を選べるようになる。
11焙煎度 × おすすめの水
浅煎りは酸味・香りを、深煎りはコクを活かす水を選ぶ。
繊細な 酸味・香り・甘さ が立つ(Mg寄りが好相性)
硬水だと酸が消えてのっぺり
適度なミネラルで コク・まろやかさ、苦味の角が取れる
軟水だと痩せる/硬水だと苦味・渋み過多
迷ったら中硬水。硬水は苦味・コク重視やエスプレッソ向き(スケール注意)。
12味がブレた時の直し方
原因を一つずつ。味見しながら、逆方向へ動かす。
すっぱい時
→ もっと抽出。細かく・熱く・長く。(未抽出=収率が低い)
にがい時
→ 抽出を抑える。粗く・ぬるく・短く。(過抽出=収率が高い)
ねらい目=SCAゴールデンカップ:TDS 1.15〜1.35% / 収率 18〜22%(収率%=抽出液g × TDS% ÷ 粉g)