知った気になれるコーヒーノートCOFFEE NOTE

Chapter 03 — Extraction

第三章 抽出のキホン

粉の成分は、溶けやすいものから順に出てくる。味は 酸 → 甘 → 苦 → 雑味 の順。

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01味は順番に出てくる

早めに止めれば酸っぱく、出し過ぎると苦く・渋くなる。酸味と甘味が出きって、苦味が立ち上がるあたり=「おいしいゾーン」で止めるのが狙い。

酸味 甘味 苦味 雑味・渋み
出やすさ おいしいゾーン 出し過ぎ=雑味 時間(抽出が進む →)

02味の正体は、成分

溶けやすいものから順に溶け出す。だから止める早さで味の中身が変わる。

酸(クエン酸 等)溶けやすく早く出る → 明るさ・フレッシュ
カフェイン早め〜中盤に多い → 刺激・覚醒(苦味は一部)
糖(甘み)中盤に出る → 甘さ・バランス
クロロゲン酸後半ほど増える → 渋み・苦味の元

03味の地図:未抽出 ↔ ちょうど ↔ 過抽出

抽出が足りない=未抽出で薄く・とがる。出し過ぎ=過抽出で渋み・雑味。真ん中が甘くバランス。

未抽出薄い・とがる ちょうど甘くバランス 過抽出渋み・雑味

※ ここでの “すっぱい/渋い” は抽出のズレの話。豆本来の華やかな酸味・個性とは別もの。

04“おいしい” を測る2つの数字

1.15〜1.35%
TDS(濃さ)=液体に占めるコーヒー成分の割合
18〜22%
収率/EY(出し切り度)=粉から何%を引き出せたか
1:16〜17
粉と湯の比率の目安(SCAは 1:15〜18)

ねらい目=SCAゴールデンカップ。TDSは屈折計で測り、収率は計算で出す。18%未満は薄く・とがり、22%超は渋み・えぐみが出る。

05収率(EY)の出し方

TDS(濃さ)と、淹れた量と、使った粉量。この3つから “出し切り度” が分かる。

TDS(濃さ)
溶けた成分 ÷ 抽出液 ×100 ← 屈折計で測定
収率(EY)
抽出液(g) × TDS(%) ÷ 粉(g)
粉15g・抽出液240g・TDS1.3% → 240×1.3÷15 = 20.8%

濃さ(TDS)は“好み”、出し切り度(収率)は“正しさ”。濃いのに薄っぺらい=高TDS・低収率もある。

06なぜ出てくるのか:浸漬 ⇄ 透過

引き出す力=粉の中と外の 濃度の差(濃度勾配)。差が大きいほど速く・強く出る。

浸漬(ためる・漬ける)

まわりの湯がだんだん濃くなり差が縮む

やがて平衡に近づき自分で止まる=穏やか・失敗しにくい

フレンチプレス・浸漬式ドリッパー

透過(湯を通す)

常に新しい湯が来るので差が大きいまま

強く引き出せる=クリーン・明るいが出し過ぎ注意

ペーパードリップ・エスプレッソ

丸さ・安定なら浸漬、クリアさ・効率なら透過。同じ豆でも口当たりが変わる。

07味に関わる 5つの要素

どれも「振り方 → 効果」で覚える。変えるのは一度に一つだけ。

挽き目
細かい→濃い・ゆっくり/粗い→薄い・速い
湯温
高い→よく出る/低い→ゆっくり
時間
長い→よく出る/短い→未抽出
比率
粉が多い→濃く/湯が多い→薄く
撹拌
混ぜる→よく出る/控えめ→出にくい

085要素のほかに効いてくる “+α”

同じレシピでもブレる原因は、たいていこの辺にある。

焙煎からの日数
焼きたてはガスで膨れ出にくい。3日〜2週間が飲み頃
挽いてからの時間
粉は急速に劣化。淹れる直前に挽く
湿度
高いと粉が湿気を吸い、出方が鈍る・ダマになる
保管環境
密閉・遮光・常温が基本。冷蔵庫は結露・匂い移り注意
水質
ミネラル量で出方が変わる。塩素は抜く

09水の硬度で味が変わる

ミネラル(カルシウム・マグネシウム)が味の 運び屋。多いほど成分がよく出る。左から 軟水/中硬水/硬水。

酸味
立つ・明るい / ほどよい / 抑えめ
苦味
控えめ / ほどよい / 出やすい・強調
コク・ボディ
軽い / しっかり / 重い
渋味・雑味
出にくい / 少ない / 出やすい(過抽出)

目安=SCA:総硬度 50〜175ppm/アルカリ度(重炭酸)40〜70ppm。日本の水道水は多くが軟水。

10ミネラルが味を動かすしくみ

何が・どう効くかを分けて覚えると、水を選べるようになる。

マグネシウム(Mg)成分を強く引き寄せる → 明るい酸・華やかさ・甘さ(抽出効率↑)
カルシウム(Ca)コク・ボディを与える → 出過ぎると重く・水垢の原因
重炭酸(緩衝・アルカリ度)酸を中和 → 少量で角を取り、多いと酸が消えのっぺり
純水・蒸留水ミネラルほぼゼロ → 引き出す力が弱く、薄く平坦に

11焙煎度 × おすすめの水

浅煎りは酸味・香りを、深煎りはコクを活かす水を選ぶ。

浅煎り → 軟水寄り

繊細な 酸味・香り・甘さ が立つ(Mg寄りが好相性)

硬水だと酸が消えてのっぺり

深煎り → 中硬水

適度なミネラルで コク・まろやかさ、苦味の角が取れる

軟水だと痩せる/硬水だと苦味・渋み過多

迷ったら中硬水。硬水は苦味・コク重視やエスプレッソ向き(スケール注意)。

12味がブレた時の直し方

原因を一つずつ。味見しながら、逆方向へ動かす。

すっぱい時

→ もっと抽出。細かく・熱く・長く。(未抽出=収率が低い)

にがい時

→ 抽出を抑える。粗く・ぬるく・短く。(過抽出=収率が高い)

ねらい目=SCAゴールデンカップ:TDS 1.15〜1.35% / 収率 18〜22%(収率%=抽出液g × TDS% ÷ 粉g)